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『出会+再会展2010』オープニングパーティー

2010年08月02日

道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3丁目 北海道新聞社北一条館1階)で行われている(2010年07月29日~2010年08月03日)『出会+再会展2010』 は、以前にこのコーナーでも紹介したことのある『出会+再会'07展』(紙と爪と視力が世界観を築く:紙の彫刻家 今偉正氏に聞く)の第二弾である。札幌で青春時代を共に生きたデザイナー5人が、展覧会の題名通り、札幌の地で再会する。5人と書いたが正確には6人のデザイナー。この展覧会は、もともとは北海道のデザイン界を牽引してきた故梅津恒見氏の遺志を継いだ『出会+再会'07展』(2007年開催)が出発点。前回(2007年)に引き続き、今偉正氏とワインを飲みながらオープニングパーティーを楽しませていただいた。

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【上は7点とも今偉正氏作品から】


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【左から 今偉正、今井宏明、矢崎勝美、蓬田やすひろ、玉本猛の各氏】


 三年ぶりに、札幌在住の今偉正氏(1937年生まれ)、矢崎勝美氏(1940年生まれ)、玉本猛氏(1943年生まれ)、東京在住の今井宏明氏(1939年生まれ)・蓬田やすひろ氏(1941年生まれ)の作品が、その個性と存在感を煌めかせながら会場に肩を並べた。どれもが熟練の年齢にならないと決して人々に与えることができないような落ち着きに満ちている。作品に触れる側にも、自ずとその落ち着きが伝搬するが、この落ち着き、単に熟練という言葉では説明できない、なにか根本的な態度に起因しているような気がする。


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【同上】


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【会場の様子】


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【今井宏明氏作品から】


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【玉本猛氏作品から】


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【蓬田やすひろ氏作品から(部分)】


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【矢崎勝美氏作品から】


 デザインの世界には、時にアートがそうであるような強烈な「自己表現」や「メッセージ」をおさえた、ある意味の中庸というかバランスを感じるときがある。アートとデザインのあいだに「境界」あるのかどうか、またアートにも等しくそんなバランスへの「志向」があるのかどうか、わたしにはよくわからない。しかし、広告やパッケージ、挿絵やポスター、あるいはさまざまな製品(プロダクト)のデザインには、好みやメッセージ性を超えた骨の太さ、安定感を共通して感じるのは私だけだろうか? 一人の人間の「作品」であることが、同時にまた普遍的な「意匠」に通じていることに由来する力強さと落ち着き。そこにある自己表現は、同時に、世界の「見え方」の驚くべき発見でもある。デザイナーは、世界の「見え方」の発見者なのだと改めて感じた展覧会である。


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【上は2点とも今偉正氏作品から】


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【上は2点とも蓬田やすひろ氏作品から(部分)】


パーティーの「あいさつ」のなかで矢崎勝美氏は、また「三年後に会いたい」とおっしゃっていた。いまからその時が楽しみである。(工藤孝史)


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